半導体ICのファイナルテストにおいて、半導体技術の急速な進化に伴い、BGAソケットでもミリ波帯の高周波数に対応する必要性が高まっています。UPTは、独自のワンピース構造を採用したテストソケット「MMS」を活用し、接点数の削減と高い寸法精度を両立することで、BGAソケットとして安定的かつ高精度高周波測定を可能にしました。
BGAソケットとは
BGAソケットは、BGAパッケージのICをテスト基板に直接はんだ付けせず、着脱可能な形で実装するためのアダプタです。BGAソケットでICのはんだボールとテスト基板のパッドをつなぐことで、接触不良(オープン・ショート)やICの損傷リスクを低減しつつ、迅速かつ柔軟な評価を可能にします。
特にICの動作検証段階では、新規チップの性能や動作条件の比較、故障解析、プログラミング作業などを容易に行えるため、試作開発の効率向上に大きく貢献します。また、IC交換が頻繁に必要な評価環境でも、はんだ付けを繰り返す手間やリスクを抑えられる利点があります。
一方、構造が複雑で高価になりやすく、基板スペースを多く必要とするため、量産には不向きです。しかし、開発時のIC評価には欠かせない手段といえます。
事例紹介:当社製品「MMS」をBGAソケットとして活用
既存のテストソケットでは、接触不良と高周波特性の測定に大きな課題を抱えていました。この課題に対し、独自のワンピース構造を持つテストソケット「MMS」をお客様の要求仕様に合わせてカスタマイズすることでUPTが解決した事例をご紹介します。

お客様の課題
昨今の半導体ICのファイナルテストにおいて、安定した高周波特性の測定精度を確保することは大きな課題となっています。
これまでBGAソケットとして使用していた複数部品から構成されるポゴピンやラバーソケットでは、構造上の複雑さから接触不良が起きやすく、安定した高周波特性の測定精度が確保しづらいという問題がありました。
UPTの提案と解決策
ワンピース構造を採用した「MMS」は、BGAソケットとして標準で高周波特性を備えており、部品点数を最小化することで接触不良を大幅に低減します。
さらに高周波シミュレーションを用いて、MMSのワンピース形状をお客様の要求仕様に合わせてカスタマイズすることで、ミリ波帯域における測定精度と安定性の向上を同時に実現しました。
テストソケット:MMS(Micro Metal Socket®)の紹介
MMSは、半導体ICの進化に対応した画期的なファイナルテストソケットです。5G・AI時代を⾒据え、⾼周波や⼤電流対応へのニーズが⾼まる中、半導体ICファイナルテストソリューションにも同様の対応が求められています。また、半導体の⼩型化や狭ピッチ化に対しても適応可能なファイナルテストソケットが必要とされています。MMSはこれらの複雑な要件に対応し、次世代半導体の開発・設計・製造に貢献します。
